
進化したペットサロン
ビデオには、クロームの発想の原点である「ゆらめく旗」が登場した。
一隻の帆船が仮想の海を進み、スクリーンの一部がぱたんと奥へ開くと、さらにモニター空間があらわれて、小さな3Dキャラクターがネットスケープのロゴを破り捨て、ウェブページを叩き落とす。
ダイレクトXと同じように、クロームは、競争相手を追い抜くための手段として経営陣に売り込まれたのだ。
事実、クロームは数多くの標的に狙いをつけたウェブ上の武器だった。
ユーザーは、アニメーションやビデオを見たり、サウンドファイルを聞いたりするときも、プラグィンと呼ばれる特別なソフトウェアをダウンロードしてむだな時間を費やす必要がなくなる。
その結果、クロームはマクロメディア社にとって脅威となった。
ブラウザでアニメーションを見られるようにするショックウェブというプラグインソフトを開発した会社だ。
クロームは、扱いが簡単で、3D動画を吉向速ダウンロードできるため、JAVAの一部の機能とも競合することになった。
JAVAは複雑なプログラミング言語で、ウェブ上でバナー広告をうつため「いつも(アップルを)追いかけているみたいだった」H氏は語っている。
多くの面で、クロームは矛盾をはらんでいた。
このテクノロジーは、ライバルのネットスケープやアップルを完全に打ち負かすことができる。
しかも、人びとにハイエンドのコンピュータを購入する動機もあたえる。
そのくせ、既存のマシンでは利用することができない。
M社のおもだった派閥は、クロームを支持する気になれなかったようだ。
R氏は回想する。
1990年代、M社はウィンドウズで市場を支配することに全力をそそいだ。
しかし、もっとも重要なふたつの標的は、ネットスケープと、またもやアップルのクイックタイムだった。
クロームは、(M社がなにもかも所有している)ダイレクトXを基礎にしていたし、ウィンドウズOSと密接に結びついていたので、ネットスケープやアップルが気に入るはずはなく、公約どおりインターネットエクスプローラ4がウィンドウズに搭載されたとき、司法省はマイクロソフトを相手に闘いを続行した。
結局は、これがM社のおもだった重役たちがクロームを支持するきっかけになった。
反トラスト法訴訟を気にするM社は、最終的に、クロームをウィンドウズの「拡張機能」と位置づけ、CD-ROMや、その強力ないとこであるDVD-ROMから3Dグラフィックを表示する能力を向上させるものとして売り込むことになる。
だが、それは表向きで、このテクノロジーはウェブの支配にはっきりと狙いを定めていた。
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